【校長室だより】第60期生卒業式

| 教育エッセイ

3月13日 第60期生の卒業式が行われました。厳粛な雰囲気の中、121名の卒業生が近畿大学附属小学校を巣立っていきました。卒業式での校長先生からの式辞を紹介します。

 学校長式辞

今朝は強い風が吹き、雷雨の音で目を醒ました方もおられたようですが、

今はきれいな青空が拡がり、春を感じさせる柔らかな陽射しが降り注いでいます。

6年生のみなさん、卒業おめでとうございます。

みなさんはこの6年間で大きく成長して立派になりました。

様々なことを経験し、たくさんの思い出の詰まったこの近小を去って、

いよいよ新しい世界に羽ばたこうとしています。

期待とともに、不安も感じているかもしれません。

でも、これまで多くのことを学んできた事を思い出してください。

人に対する思いやりや優しさ、感謝する心、誠実に努力すること。

そして、みなさんの周りには、いつも暖かく見守ってくれる人たちがいました。

みなさんが今、確かに持っているものは目には見えないものですが、

これからのみなさんをしっかり支えてくれる大切な宝物です。

以前、朝礼でみなさんに星野富弘さんのお話をしたことがありました。

中学校の体育の先生になった年に、

宙返りを失敗して首から下が動かなくなったという人です。

事故のあと、星野さんは病院のベッドに横たわり、

来る日も来る日も絶望で眠れない夜が続きます。

でも、ある夜、ふと自分がいくつかの詩を暗唱していたことを思い出します。

こころの中でその詩を何度も諳んじていると、

あれほど眠れなかった夜なのに、

いつの間にか穏やかな眠りにつくことができたそうです。

星野さんの心は不安と悲しみでいっぱいでしたが、

詩が持っている美しい響きや生き生きとした言葉は、

その心にさわやかな風を吹き込み、

美しい花びらを舞い散らせてくれたんですね。

身体が動かなくなっても、心まで縛りつけられたわけではありませんでした。

やがて星野さんは、ベッドに横たわった姿勢のまま、

口で筆を加えて美しい花の絵とことばを描き始めます。

そして、星野さん自身も気づかないうちに、

その絵は見る人の心を大きく揺さぶり、

美術を専門に勉強している人をさえ圧倒するほどのものに

なっていきました。

それは星野さんが、目に見える花の向こうに、

私たちには見えない、もっと美しいものを

見ておられたからではないかと思います。

患難(苦しみ)が忍耐を生み出し、

忍耐が練られた品性を生み出し、

練られた品性が希望を生み出します。

そして、この希望は失望に終わることがない。

すてきな言葉ですね。

近小を巣立って行くみなさん。

これから社会は大きく変化していきます。

どのような未来が待っているかは誰にもわかりません。

でも、その変化を恐れるのではなく、

むしろ楽しめる人になって欲しいと思います。

そのためにも、ぜひ覚えておいてください。

みなさんが生まれてきたこの世界が、

限りなく美しく、価値ある世界だということ。

そして、みなさんはその世界になくてはならない大切な一人だということです。

ここにいる一人ひとりに、大切な使命があります。

どうぞ、いつも明るく、勇敢で高尚な生き方をしてください。

そしていっそう逞しくなったみなさんが、

ここに帰って来てくれるのを楽しみにしています。

中学校でも、頑張ってくださいね。

最後になりましたが、保護者の皆様方、本日は本当におめでとうございます。

今日の立派な子どもたちの姿に、感慨無量のことと拝察申し上げます。

私たち教員も、この子どもたちと一緒に過ごすことができて幸せでした。

本当に彼らは、私たち教員の誇りでもあります。

保護者の皆さま。

この素晴らしい子供たちを本校にお預けくださいましたことに

改めて御礼申し上げます。

卒業生のみなさん。

卒業おめでとう!

みなさんの未来が本当に幸せであるよう祈り、餞の言葉といたします。

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