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【校長室だより】 第59回卒業式 学校長式辞

6年生のみなさん、卒業おめでとうございます。

昨年4月、私がこの学校に赴任してきたとき、

近小の最上級生である皆さんは私の目にはとても輝いて見えました。

明るく元気で、礼儀正しく、下級生の模範。

私は、凜々しい制服姿のみなさんと修学旅行に行く自分を想像し、

それにふさわしい校長になれるように頑張ろうと思ったほどでした。

また、みなさんが白浜で90分を泳ぎ切ったとき、

浜辺におられた皆さんも感動して拍手を送ってくださいました。

その光景を、私もまた誇らしい気持ちで見ることができました。

そんなみなさんと毎朝、正門で挨拶することが楽しみでした。

そして、その気持ちは今も変わりません。

近小の制服を着たみなさんの姿を見るのが今日限りと思うと、

少し寂しい気持ちになりますが、

立派に成長した皆さんがまた戻ってきてくれるのを

楽しみにしたいと思います。

さて、みなさんの卒業にあたって、何をお話しようかと考えていたとき、

リチャード・ファインマンを思い出しました。

ファインマンは、量子電磁力学でノーベル賞を受賞したアメリカの物理学者です。

ファインマンは自伝を出版していますが、そのタイトルもユニークです。

『ご冗談でしょう、ファインマンさん』。

高校生くらいになれば、ぜひ読んでみてください。

ファインマンさんはマンハッタン計画と呼ばれる原子爆弾の開発にも関わり、

ロス・アラモスで原子爆弾の実験にも立ち会っています。

原子爆弾の光から目を守るため、みんながゴーグルをしている中、

彼だけは肉眼で人類初の原子の火を見ました。

その夜、実験の成功を祝って盛大なパーティーが開かれて、

みんなが喜んで浮かれている中、

ポーランドから来た科学者がひとり離れて辛そうな顔をしていました。

ファインマンさんが近寄って訳を聞くと、

「ほんとうに、あんなものを作って良かったのか」とつぶやいたそうです。

のちにファインマンは、

「みんなが間違っていて、一人だけが正しいということがあるということを

  私はそのとき知った」と言っています。

そのファインマンさんが、あるとき質問を受けました。

「この世界の科学的知識が全て破壊されたとき、

 次の世代にたった一文を伝えるとしたら何を伝えますか」

そのとき、ファインマンさんは、

「この世界の全てのモノは原子でできているということだ」と答えました。

この世界のあらゆる出来事は、その知識があれば理解できるというのです。

その少ない言葉の中に、圧倒的な情報量がつまっている。

それは、この世界の謎を解くマスターキーといえるものかもしれません。

私が今日、限られた時間の中で、みなさんのために伝えたいことを

一言で言うとすれば何でしょうか。

それは、

「私たちがこの世に生を受けたのはたまたまではなく、

 一人一人に意味と目的がある」ということです。

言葉を変えて言えば、みなさんひとりひとりには、

この世界でなすべき使命がある、ということです。

みなさんの目の前には、これから新しい世界が次々と広がっていきます。

楽しいこと、嬉しいことばかりでなく、辛いこと、苦しいことも起きるでしょう。

その全ては使命を果たすための訓練であることを理解できれば、

私たちの生き方も違ってきます。

苦しみにも意味があるということについては、先生が好きな言葉があります。

「患難が忍耐を生み出し、

 忍耐が練られた品性を生み出し、

 練られた品性が希望を生み出す。

 そして、この希望は失望に終わることがない。」

 

苦しみにも意味があると解れば、忍耐できます。

そして、それは品性を高め、希望をもたらしてくれます。

「みなさん一人ひとりに大切な使命がある。」

この言葉がみなさんの生涯のマスターキーになれば幸いです。

近小を巣立っていくみなさん。

どうぞ、勇敢で高尚な生き方をしてください。

そしていっそう逞しくなった皆さんの姿を見るのを楽しみにしています。

中学校でも、頑張ってくださいね。

最後になりましたが、保護者の皆様方、本日は本当におめでとうございます。

日の立派な子どもたちの姿に、さぞ感慨無量のことと拝察申し上げます。

私たち教員も、授業中の子どもたちの真剣なまなざし、

様々な行事でのリーダーシップ、

そして楽しそうな歓声と輝くような笑顔を思い出します。

私たち教員も同じ時間を共有させていただき、

ともに学び、ともに喜ぶことができて幸せでした。

本当に彼らは、私たち教員の誇りでもあります。

保護者の皆さま。この素晴らしい子供たちを本校にお預け下さいましたことに

改めて御礼申し上げます。

卒業生のみなさん。

卒業おめでとう!

みなさんの未来が本当に幸せであるよう祈り、餞の言葉といたします。

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